【コーマン・スクール2012】連動上映/伝説の映画監督モンテ・ヘルマン21年ぶりの新作とニューシネマの伝説的な作品としてアメリカ映画史に燦然と名を残す『断絶』。クエンティン・タランティーノ、ヴィンセント・ギャロをはじめとする多くの映画人たちに強烈な影響を与えた二作品をアンコール・ロードショー!
■上映スケジュール
5月19日(土)ー5月25日(金)
| 『断絶』 13:30- | 『果てなき路』 15:30- |
5月26日(土)ー6月1日(金)
| 『果てなき路』 14:45- | 『断絶』 17:00- |
■料金
一般=1500円/大学・専門学校生=1300円/シニア=1000円/高校生=800円/中学生以下=500円
■作品紹介
果てなき路 ROAD TO NOWHERE2011年/アメリカ映画/カラー/121分/ビスタ/デジタル
© 2011 ROAD TO NOWHERE LLC
CAST
ローレル・グラハム / ヴェルマ・デュラン:シャニン・ソサモン
ミッチェル・ヘイヴン:タイ・ルニャン
ブルーノ・ブラザートン:ウェイロン・ペイン
キャリー・スチュワート / レイフ・タッシェン:クリフ・デ・ヤング
ナタリー・ポスト:ドミニク・スウェイン
スティーヴ・ゲイツ(脚本家):ロブ・コラー
ネスター・デュラン:ファビオ・テスティ
STAFF
監督:モンテ・ヘルマン
脚本:スティーヴン・ゲイドス
製作:メリッサ・ヘルマン、モンテ・ヘルマン、スティーヴン・ゲイドス
製作総指揮:トーマス・ネルソン、ジューン・ネルソン
撮影:ジョセフ・M・シヴィット
音楽:トム・ラッセル
音楽監修:アナスタシア・ブラウン
編集:セリーヌ・アメスロン
VFX:ロバート・スコタック
美術監督:ローリー・ポスト
INTRODUCTION
映画制作のプロセスを描いた映画
久々の新作となった本作の主人公は、まるでかつてのヘルマン自身を思わせる、ハリウッドでの活躍を期待された若手の映画監督である。そこには、脚本家と共にストーリーを練り、出演者を捜し、制作上のあらゆる問題に対処しようとするひとりの映画監督の姿がある。へ ルマンと長年タッグを組んできた脚本家のスティーヴン・ゲイドスは、ヘルマンと自分とのこれまでの映画制作のプロセスをモデルに、本作の脚本を執筆したという。「私たち(ヘルマンとゲイドス)は素晴らしい友人であり、このストーリーは悲惨な人生を歩んだふたりから生まれたものだとわかる。だから私は、これほどまでに「映画」についての映画を私たちがつくってしまったこと、そしてそれが、ほかでもない私たちの個人的な人生と経験に基づいたものであることを皮肉に思う」(モンテ・ヘルマン)。
二面性を持ったヒロイン像
謎の女ヴェルマと、もうひとりの謎の女ローレル。ふたりの本当の関係は一体何なのか? 彼女たちは果たして同一人物なのか? 現実とフィクション(映画)の間を彷徨うなか、彼女の周りにいる者たちだけでなく、映画の観客もまた彼女の存在に翻弄されていく。二面 性をもったそのヒロイン像は、『ローラ殺人事件』(44年)のジーン・ティアニー、『ギルダ』(46年)のリタ・ヘイワース、そして『めまい』(58年)のキム・ノヴァクを思い起こさせる。「それはフィルム・ノワールの基本だ。ヒーローは翼の折れた小鳥と恋に落ち、最後には、彼女によって粉々に壊されてしまうんだ」(モンテ・ヘルマン)。 本作の中心にあるこの謎の女を演じたのはシャニン・ソサモン。『ロック・ユー!()01年)をはじめ数々のハリウッド映画に出演してきたもの の、脚本家スティーヴン・ゲイドスは彼女のことを女優とは気付かず、彼女を見かけたレストランで本作にスカウトしたのだという。まさに本作のローレルとよく似た状況が、本作を動かし始めたのだ。
21年前のスタッフたちが再結集
ヘルマンの21年ぶりの長編作を支えるのは、かつての仲間たち。脚本家のスティーヴン・ゲイドスは、『コックファイター(74年)』以来の良きパートナーで、今回は脚本だけではなくプロデューサーとしても、本作の誕生に大きな力を注いだ。ふたりの親密で濃密な力強い関係の中で、はじめて本作が生まれたと言っていい。また、撮影監督のジョセフ・M・シヴィット、美術監督のローリー・ポストもまた、21年前のスタッフ。若き俳優たちと最新技術が作り出す新しいヘルマンの映画を、古くからの力がバックアップすることになった。
STORY
将来を期待された若きアメリカ人映画監督ミッチェル・ヘヴン。 彼は、かつてノースカロライナで起こった事件を基にした映画「ROAD TO NOWHERE」の製作にとりかかる。 映画の核にもなるヴェルマ役の女優探しから始まった。 大物女優、やがてオーディション映像の中からヴェルマ役にぴったりの女優を見つける。 早速、ミッチェルは彼女に会いにローマへと向かう。
ローマで会ったローレル・グラハムはヴェルマそのものだと確信し、監督ミッチェル・ヘイヴンとローレルは一日にして恋に落ちてしまう。 やがて撮影に入ると、撮影を続けていく中で、監督と主演女優の恋は本物の愛へと変わっていく。
しかし彼を魅了したローレルの経歴もまた、謎のヴェルマと同様に、暗く不可解なものだった。 一方で事件の真相を追う保険調査員のブルーノが何かに気づき始める。 ある晩、撮影スタッフが滞在するホテルで銃声が響く。 実際に起きた事件を追う者、恋に落ちた監督と女優、スタッフたちが、撮影現場でむかえたエンディングとは?

(C) 1971 Universal Pictures and Michael Laughlin Enterprises Inc. All Rights Reserved.
断絶 TWO-LANE BLAKTOP
1971年/アメリカ映画/カラー/102分/シネマスコープ/35mm
©1971 Universal Pictures and Michael Laughlin Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
CAST
ザ・ドライヴァー:ジェームス・テイラー
ザ・メカニック:デニス・ウィルソン
ザ・ガール:ローリー・バード
GTO:ウォーレン・オーツ
ヒッチハイカー:ハリー・ディーン・スタントン
STAFF
監督:モンテ・ヘルマン
脚本:ウィル・コリー、ルドルフ・ワーリッツァー
製作:マイケル・S・ローリン
撮影:ジャック・ディアソン
音楽:ビリー・ジェイムズ
編集:モンテ・ヘルマン
INTRODUCTION
『イージー★ライダー』(69年)の大ヒットを受け、アメリカン・ニューシネマの登場に湧いていた、70年代のハリウッド。『断絶』は、ユニヴァーサル映画が、『さすらいのカウボーイ』(71年/ピーター・フォンダ)『ラストムービー』(71年/デニス・ホッパー)とともに起死回生の企画として仕掛けた野心作だった。しかし興行的には惨敗し、モンテ・ヘルマンがメジャー映画から遠ざかる原因となったいわくつきの作品である。主演に70年代を代表するシンガーソングライター、ジェームス・テイラーとビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンを起用、そして彼らとレースをする中年男役に、サム・ペキンパーやピーター・フォンダ作品の常連である名優ウォーレン・オーツ。ヒロインは、アート・ガーファンクルとの交際でも知られる、当時無名のローリー・バードが演じた。ウォーレン・オーツ以外、プロの俳優は使わず、撮影直前にそのシーンの台詞を手渡し彼らの即興的演技を引き出したという。また撮影は映画の物語と同じLAからワシントンDCまでのコースを辿り、撮影自体が一種のドキュメンタリーとして行われた。70年代アメリカのフリーウェイを疾走する2台の車と、愛と孤独を求めて彷徨う若者たち。『断絶』はアメリカン70sを体現する、アメリカン・ニューシネマの金字塔的作品であり、孤高のロードムーヴィーである。
STORY
レース用にチューニングした55年シェビーに乗ったザ・ドライヴァーとザ・メカニックは、深夜のストリートレースで儲けた賭け金を手に、LAを飛び出す。途中、車に乗り込んで来たザ・ガールも加わり、3人は賭けレースの相手を探して南東へと車を走らせる。やがて立ち寄ったガソリンスタンドで、オレンジ色のポンティアックGTOに乗った中年男に遭遇すると、彼らは、互いの車を賭けた大陸横断の長距離レースを提案する。ワシントンDCを目指し、2台の車は二車線のアスファルト道路を疾走する……。

(C) 1971 Universal Pictures and Michael Laughlin Enterprises Inc. All Rights Reserved.
監督
モンテ・ヘルマン Monte Hellman
1932年7月12日、ニューヨーク生まれ。ロサンゼルスのUCLAで映画を学んだ後、演劇活動をはじめ、25歳のときにアメリカ西海岸では初演となる サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」を演出。その舞台を見た“B級映画の神様”ロジャー・コーマンに声をかけられ、コーマン組の作品にスタッ フとして参加。ペキンパーなどの編集を手伝いながら、59年、長編第1作となるホラー映画『魔の谷』を撮る。その後、同じくコーマン門下生であった ジャック・ニコルソンと出会い意気投合、ふたりは『バック・ドア・トゥ・ヘル/情報攻防戦』「Flight to Fury共に64年」」を経て、ジャック・ニコルソン 主演の西部劇『銃撃』『旋風の中に馬を進めろ(共に66年)』を製作。この異色の西部劇2本は、様々な映画祭に出品され高い評価を得た。 71年、ユニヴァーサルで撮った『断絶』が興行的に惨敗し、その後メジャー・スタジオの作品が撮れなくなる。74年、ロジャー・コーマンが設立した ニュー・ワールドの製作で『コックファイター』を監督するが、これも興行成績が芳しくなかったためにコーマンがタイトルを変え、作品をつくり変えてし まう。以後10年間、監督作は78年にイタリアとスペインで製作された西部劇「China 9, Liberty 37」のみ。その後は、編集や第2班監督などの 仕事が続く。88年、10年ぶりとなる長編『イグアナ/愛と野望の果て』をスペインで撮影。続けてシリーズもののホラー映画『ヘルブレイン/血 塗られた頭脳』を監督。近年では、2005年のカンヌ国際映画祭では、モンテ・ヘルマンのレトロスペクティヴが行われた他、若手監督の映画に出演するなど、その作品を再評価、再発見する動きが多く見られる。後輩の映画監督からも敬愛され、クエンティン・タランティーノ監督『レザボア・ドッ グス(92年)』やヴィンセント・ギャロ監督『バッファロー’66(98年)』は、もともとヘルマンに監督をさせるために企画した作品であった。最終的にこの2本は彼らふたりの監督デビュー作となったが、『レザボア・ドッグス』ではヘルマンがプロデューサーに名を連ね、大きな注目を集めた。 2006年 の第59回カンヌ国際映画祭では、「ある視点」部門で審査委員長をつとめただけでなく、久しぶりの監督作となる短編「Stanley’s Girlfriend」(オムニバス映画『デス・ルーム』中の1本)を出品した。2010年の第67回ヴェネチア国際映画祭では、21年ぶりの長編映画となる最新作『果てなき路』が公式上映され、モンテ・ヘルマンのこれまでのキャリアに対して特別獅子賞が与えられた。


